Sappi Alfeldでは iRollを用いてワインダ損紙を80%低減
2017年4月20日木曜日
バルメットの iRoll技術とそれぞれの紙種に対応した最適制御戦略によって、Sappi Alfeldでは PM 2のワインダ損紙を 80%低減することが可能になった。
「iRollを用いて、私たちは巻取り品質の改善で大きな前進をしました。」と、Sappi Alfeldのプロジェクトマネージャである Dustin Jeckstadt氏(左)は述べる。一緒に写っているのはバルメットのプロジェクト責任者の Ralf Füssel。
製紙業者はより良い生産効率やコスト削減、そして優れた紙のプロファイルを常に探している。現在の厳しい市場状況では、数パーセントのリールやワインダの中断でさえ許されない。製品の実際のユーザーに対し、できる限り最良の満足を提供することもまた極めて重要である。これらの課題に取り組むため、ドイツの Hannoverに近い Sappi Alfeld工場ではバルメットの iRoll技術の硬さプロファイルを利用した。
2013年、同工場は残っている唯一のグラフィックペーパーマシン PM 2を、おそらくこれまでに作られたなかでも最も高機能かつ最大の特殊紙マシンに転換することで、飛躍的な進歩を遂げた。Sappiは市場の需要へ対応するために革新的なアプローチを行い、その目標達成のためにすべてオンラインのコンセプトを選択した。MGシリンダー、オンラインコーター、オンラインマルチニップカレンダーは最大 1,200 m/minで稼働し、生産幅 5,150 mmの世界最大の特殊紙マシンに組み込まれているツールの 1つである。
紙種が広範囲にわたっていることは、プロセス制御と走行性にとっては難題であった。坪量 50〜180 g/m2のカレンダー付き、カレンダーなし、コーティング付き、コーティングなし、片面コーティングと両面コーティングの種類がある。速度と効率に関係する他のさまざまなパラメータを最適化する必要があった。
生産効率を重視
Sappi Alfeldではマシンを特殊なパッケージングとラベルグレードに変換し、製品特性と市場で求められる高い製品品質の目標を達成した後、PM 2の生産効率に焦点を絞った。これは、Sappiの顧客のニーズにも対応するための開発経路における重要な部分だった。アイデアは、大量注文に対応し、最高のベンチマーク品質を提供し、可能な限り最高のコスト効率を備え、プラスチックベースの材料から紙ベースの材料への移行をサポートできる大型の特殊紙マシンを持つことであり、それはヨーロッパ市場で増加傾向にあった。
特殊紙製造での製品構成は多様であり頻繁な紙種変更が必要とされる。幅広い様々なプロセスパラメータも求められる。プロファイルや走行性関連の紙切れが原因となって材料効率は容易に低下する可能性がある。
これは、とりわけより高いカレンダ処理効果を必要とする高密度紙をリールやワインダで巻き取るときの特定の問題である。
したがって、マルチニップカレンダあるいはソフトカレンダ処理した紙種は、プロファイル制御についての一連の課題を生み出す。ドライエンドでの損紙は親巻きの硬さと直径のプロファイルに依存する。プロファイルが悪いとリールやワインダでの巻取りおよび走行性に関わる問題を引き起し、結果として大量の損紙が発生する可能性がある。親巻きの CD硬さプロファイルにおける硬いエリアが、膨れ、リッジあるいは段の発生を導き、製品ロールの外観品質を低下させることになる。
Sappi Alfeldは品質基準を高く設定しており、見た目でも完璧で完全なプロファイルを持ったロールのみが受入れられる。すべてのロールは検査に合格する必要があり、だぶだぶの伸びすぎた領域、しわ、指の筋、またはその他の硬さプロファイル関連の問題がないことが確認された上で最終的に出荷される。
一方、硬さプロファイルのばらつき、特に坪量のグレードが軽い場合にこれらの問題が発生する傾向があり、破損して全体的な材料効率が低下した。これによって、比較的高いレベルでワインダ損紙が発生することになり、PM 2全体の収益性には負の影響を及ぼすことになった。
最初は46%の損紙低減
第一段階には、ヘッドボックスの調整とリールをオシレートさせることが含まれていた。しかしながら、この効果は比較的小さかった。オンライン厚さプロファイル制御はカレンダのプロファイリングのための最適な結果を与えなかった。それで、焦点をリールの硬さプロファイルに移すことになった。
工場は、すべての紙種の硬さプロファイルを定期的に観察することで、PM2のリールでの硬さプロファイルの改善と安定化に努めた。プレカレンダとマルチニップカレンダのプロファイル目標を最適化することで、硬さプロファイルが改善された。バルメットは、より一層のプロファイル微調整を行なうために iRollポータブル分析を実施した。
こうした対策のすべてが累積することで、ワインダ損紙を元の水準に比較して 46%減少させる効果が得られたが、まだ十分ではない。より良い結果を得るために、コントロールシステムのアップグレードが必要とされた。
ワインダプロファイルリジェクトの開発。iRoll Portableによって強化された手動アクションを示し、さらにオンライン硬さプロファイル制御を備えている。手動操作により、リジェクト量をほぼ半分に削減できる。オンラインの硬さプロファイル制御により、手動で最適化されたレベルからさらに 64%の削減が得られ、これは元のレベルと比較して 80%の合計削減に相当する。
iRoll技術は硬さプロファイルを改善し、
最終段階は、バルメットのソフト Reel Drum Coverを装備した iRoll Reelを PM2のリールに導入することによる実行であった。
iRoll Reelはバルメットの硬さプロファイルを改善するソリューションであり、極めて高い感度と測定速度を提供する。その感度は、リールの巻取りプロセスで性質が累積することに起因する。すなわち、何千もの紙層が相互の上へ上へ巻き取られることで硬さや直径のプロファイルの変動を増幅させるわけである。こうして、iRollシステムは最小の変動であっても容易に検出でき、他のどのようなタイプの QCSを適用しても対抗できない制御精度を与えることができる。 iRoll硬さプロファイル制御には、ヘッドボックスのアクチュエータとかカレンダのゾーンコントロール用ロールおよび誘導加熱プロファイラといった利用 可能なプロファイルツールを使用できる。
iRoll Reelドラムシステムは、オンライン制御アプリケーションに使用できるオンライン硬さプロファイル測定を提供する
Sappi Alfeldの PM 2では iRollの硬さプロファイル信号が、Valmet IQ CD Controls多変量プロファイル制御システムに接続された。良好な硬さプロファイルを得るために、厚さプロファイル制御のみを使うよりはむしろ iRollの硬さプロファイルをコントローラへの入力として使用した。高機能の多変量コントローラは、またいくつかの入力と出力をそれぞれの最適な重み付けをして結び付けることを可能にした。これによって、さまざまな紙種のためにさまざまな戦略が利用できることになる。
その結果としてワインダ損紙を80%低減
Sappi Alfeld PM 2での様々な紙種のための多変量コントローラによる iRoll硬さプロファイル制御および最適な制御戦略の結果として、ワインダ損紙は元の数値と比較して 80%を低減した。これは以前のレベルや生産ラインの収益性に比べ、目覚しい改善であった。
「iRollは巻取り品質の改善において私たちを大幅に前進させてくれました。」と、Sappi Alfeldの Dustin Jeckstadt氏は語る。
バルメットの iRollテクノロジーにより、工場では高速、最高の製品品質、幅広い製品構成、優れた材料効率の要件を一度に満たすことができ、投資に対する優れた回収が得られた。