蒸解とは?

2018年12月11日火曜日

バルメットの第三世代 CompactCookingが発売される。第三世代は柔軟性が一段と向上し、蒸気と洗浄が改善されたほか、メンテナンスが簡素化されている。

Compact Cooking main picture

バルメットの CompactCookingが初めて市場に登場したのは 1997年のことだ。続いて2003年には第二世代が発売された。現在稼動中のシステムは 50近くにのぼり、世界各地のパルプ工場で高品質のパルプ生産、パルプ収率の最大化、パルプのリジェクトの最小化を支援するとともに、蒸気および電力消費の削減に貢献している。

お客様重視

「これまで CompactCookingは大多数のパルプ工場にとってごく当然の選択肢となってきましたが、私たちは絶えず改善に取り組んでいます。広葉樹の大規模蒸解釜を操業するお客様から、改善の要望をいただきました。製品とシステムの開発に常時取り組む私たちにとって、お客様のフィードバックは改善プロセスの重要な要素です。新世代は、私たちの開発活動をもとに、大規模工場を中心とするパルプ工場の広葉樹の蒸解に主として重点を置いています。」と CompactCookingの販売部長である Patrik Lidbäckは言う。

規模の拡大 - 高まる要求水準

パルプ工場をめぐるトレンドはかつてない大規模化に向かっている。大規模施設では一層コスト効率のよい生産が可能で、収益性が高まるためだ。

「大規模施設には固有の問題があります。規模が大きくなるほど、操業を最適化するために設備にかかる負担が大きくなります。バルメットの第三世代 CompactCookingは大規模工場に適した連続蒸解システムを強化しています。」と Lidbäckは述べている。

一段上へ

「CompactCookingは、当社がさまざまな方法で開発を進めてきた、高い評価を得ているコンセプトです。今世代は蒸気スチーミングと洗浄に改善を加え、一段と効率的で柔軟なシステムをご提供できます。第三世代 CompactCookingはメンテナンスも簡単です。一層コスト効率的な新しいレイアウトと、高圧フィーダーのポンプへの交換によって、メンテナンスの必要性を低減しています。」と説明するのは、第三世代 CompactCookingの開発プロジェクトマネージャー Jonas Saetheråsenである。

スチーミングと洗浄の改善

新しい CompactCookingのスチーミングプロセスは前世代よりも効率化され、薬液浸透プロセスに格段に適した条件を実現する。洗浄のパフォーマンスも向上している。蒸解釜のパルプの洗浄度合いが向上し、下流プロセスへの要求が低減している。

「洗浄効率が高まることで、漂白工程における化学薬品消費が減少します。開発活動の結果、私たちは後続の処理段階も重視するようになっています。連続蒸解が適切に機能すれば、後続プロセスにも好ましい影響がもたらされます。」と Saetheråsenは言う。


バルメットはお客様とともに、お客様のニーズに応じてソリューションをカスタマイズします」

よりコンパクトに

CompactCookingという名称からコンパクトな蒸解システムであることが窺えるように、第三世代では使用スペースが縮小されている。

「CompactCookingとはとても適したネーミングです。新システムはスペース面でも効率的で、メンテナンスが容易です。新しいレイアウトによって、パイプやプラットフォームなど周辺システムのコストを最小限に抑えられます。」と Lidbäckは述べている。

カスタマイズされたソリューション

「CompactCookingはモジュラー式で、お客様の個別の要件に合わせてカスタマイズできます。システム全体を必要とされるお客様もいれば、単に蒸解装置の新しい部品をお求めのお客様もいらっしゃいます。」と Lidbäckは説明する。

キーワードは柔軟性である。プロジェクトチームが目指したのは、お客様と共同開発できるシステムを構築することだった。

「CompactCookingは起こり得る変化に対応できるようにつくられています。たとえば、パルプ工場が新しいグレードのパルプ生産を希望したり、増産可能な工場にスケールアップして生産増強を希望したり、といった変化です。」 Saetheråsenはさらに続けている。「第三世代 CompactCookingは構造的に柔軟なため調整が可能で、パルプ工場が直面する変化に対応することができます。」

多数の専門家が関与

バルメットの開発活動には多数の専門家が関わっている。第三世代 CompactCookingを開発したプロジェクトチームを指導したのは Jonas Saetheråsenだ。

「プロジェクトチームには実に多様なスキルを持つ面々が揃っていました。マシン設計者やプラントエンジニア、プロセスエンジニア、私たちの研究室のスタッフをはじめ、ほかにも多数が関与し、全員がそれぞれ独自のスキルで貢献しました。研究室での試験とシミュレーションは、業界規模の新製品や新しいプロセスを生み出す道程において極めて重要な段階です。」と Saetheråsenは言う。

Jonas Saetherasen led the project team that developed the third generation of CompactCooking.“CompactCooking has been the obvious choice for a majority of pulp mills,” says Patrik Lidbäck, Sales Manager for CompactCooking.

左: 第三世代 CompactCookingを開発したプロジェクトチームを指導した Jonas Saetheråsen
右: 「これまで CompactCookingは大多数のパルプ工場にとってごく当然の選択肢となってきました。」と話す  CompactCookingの販売部長 Patrik Lidbäck

実証されたメリット

ImpBin技術

  • 低温かつ長時間の薬液浸透

2ベッセル式システムのコンセプト

  • 低温蒸解
  • 蒸解液比の制御が可能
  • 黒液再循環による高歩留りを実現
  • チップ、蒸解液の並流運転

簡潔さ

  • 回転機器がほとんどない

効果

  • 歩留りが高い
  • リジェクトが少ない
  • エネルギー消費が低い
  • メンテナンスが容易
  • 稼働率が高い

次世代型のパフォーマンスの向上  

漂白性の最適化

  • アルカリプロファイルの改善
  • 蒸解終了時点のパルプ洗浄度合いの向上

洗浄の改善

  • 最大3つのラジアル洗浄ゾーン

柔軟性の向上

  • 3つの蒸解ゾーン
  • 蒸解プロセス全体で温度調整とアルカリチャージが可能

メンテナンス/アクセス可能性の改善

  • スクリーン洗浄

持続可能性の向上

  • 臭気ガスフリーの薬液浸透ベッセル
  • DNCGへの接続
  • 針葉樹に対するターペンチン回収が改善

 

お問い合わせ先

バルメット株式会社
パルプ&エネルギービジネスライン 営業部
電話 03-6744-3040