板紙製造で嵩をセーブするための新しい方法

2017年4月24日月曜日

バルメットが最近開発したアクア冷却カレンダリングは嵩をセーブする興味深い方法である。この方法は、嵩と表面平滑度の比に着目したとき、パイロットマシンでのカレンダトライアル結果が工場での実操業の結果よりも良い値を与えるという事実に基づいている。この理由は、紙または板紙のウェブはパイロットマシンでは冷えており、実際の工場の条件では熱くなっていることによる。

Calendering effect

アクア冷却カレンダリング

アクア冷却カレンダリングは、カレンダリング前にウェブを冷却することで、製紙工場において理想的なパイロット条件を再現するものである。少量の水を熱したウェブに付与し、その直後に冷えた乾燥エアをウェブ上に吹き付けて直ちに水を蒸発させることで、この効果的な冷却が行える。

原材料を 2-4%節約

水を紙の表面に付与するとき、濡れには遅れ時間が存在することから、これによって水の紙への浸透の開始までの所要時間が分かる。アクア冷却カレンダリングを用いれば、冷却は濡れの遅れ時間内で行われる。それで、紙表面のラフニングは起こらないし繊維間結合の破壊も起こらない。

パイロットトライアルで確認したところでは、表面だけではなくウェブの厚さ分全体が冷却される。カレンダリングニップは表面のみを加熱するので、カレンダリング効果はウェブのまさにトップ層のみに永久的に働く。内側の層は弾性的に回復し、嵩はセーブされる。嵩のセーブによって、原材料の 2-4%の節約を達成することが可能である。

Calendering effect with thermoplastic deformation

カレンダリング効果: ウェブの表面は熱塑性変形を受ける。ウェブの内部はより低い温度に維持することによって弾性と嵩を維持する。

装置は使いやすい

アクア冷却カレンダリングの装置は紙・板紙抄紙機の新設であっても改造であっても適している。OptiDry Chillアクア冷却ユニットは、冷却した乾燥エアをウェブに噴きつけるのに使われ、従来のエアドライヤユニットよりもはるかに小さいことから、アクア冷却カレンダリングは改造には理想的である。

この装置は、操業、メンテナンスともに非常に容易に行える。「通常の洗浄は別として、私たちは運転期間中、装置はまったくメンテナンスを行う必要はありませんでした。もっとも、ファンやモータについての通常作業はありましたが。」とは、Stora Enso社の生産マネージャである Antti Veitola氏は結論する。

Zellcheming Association visiting SE Ingerois

アクア冷却カレンダリングは多くの関心を喚起してきた。10月には、Association of Chemical Pulp and Paper Chemists and Engineers(Zellcheming Association)の会員グループが新しい嵩保持技術について聞くために Ingerois工場を訪問した。会員たちは、軽量化は紙・板紙製造産業のあらゆる場所での明確な方向である、とコメントした。