Arkhangelsk BM 2: 再生包装材におけるプレゼンス拡大を目指して
2018年12月10日月曜日
Arkhangelsk Pulp and Paper Millは、再生包装材に投資を行い、生産能力の 30%引き上げを図ることを決断した。バルメットによる大掛かりな改修を経て、2019年前半に BM 2クラフトライナーの生産ラインが始動する見通しである。同プロジェクトでは、クラフトライナーの品質改善と生産の柔軟性向上の 2点が目標に掲げられている。
世界の森林地帯の 5分の1相当、約 8億1,000万haがロシアに存在する。世界最大の森林資源を有する同国は、国内のパルプ、紙、板紙産業に強力な投資推進策を講じ、生産拡大を図っている。原材料面ではバージン繊維が圧倒的に多く、ロシアで生産される紙繊維全体の 75%がバージン繊維を原料としており、再生繊維は 25%に過ぎない。Arkhangelskはこれを同社の成長機会と捉え、再生繊維の使用拡大を活かしていく考えである。
「当社は今後、軽量再生包装材を推進していく方向です。スムーズなスタートを切り、始動直後から確実に品質の高い板紙を生産できるよう、バルメットの先端技術とノウハウに投資しました。高い評価を得ている経験豊富な専門家と手を組み、投資の対価を確実に得られる方が望ましいからです。」と、JSC Arkhangelsk取締役会長の Heinz Zinner博士は説明している。
改修後、BM2は 80~275 g/m2という広範囲の坪量の上質軽量クラフトライナーを年間 27万トン生産することが可能になる。
バルメットとともに的確なソリューションをつくる
Arkhangelskにとって BM2の的確なソリューションを見つけることは困難なプロセスであった。既存の建物のスペースが制約要因となっていたうえ、市場での優位性を実現できる最新技術は要求水準が高かったためである。「新しいプラントを設立しようというのではありません。運転中の機械が間近にある既存の拠点での建設プロジェクトです。バルメットのサポートと詳細な事前見積りに当社は非常に助けられました。機械、つまりバルメットの OptiConcept Mはモジュール設計を取り入れた独自のフレーム構造を持つため、建設と設置に要する作業コストと時間を低減することができます。」と、Arkhangelsk工場の板紙部門技術責任者 Alexander Tuvanof氏は語っている。
「バルメットが技術とオートメーションのサプライヤーでなければ、当社は競争で優位に立てなかったでしょう。このたび獲得した高品質の軽量クラフトライナーの生産能力は、競争上の当社の地位向上に貢献する見通しです。」と Arkhangelsk工場の販売部長 Aleksey Dyachenko氏は説明する。
この規模で実施される困難な改修プロジェクトには、関係者間の円滑なコミュニケーションと相互信頼も必要であった。「バルメットの方々は当社の話に耳を傾け、当社の希望や必要としていることを十分に理解してくれました。コミュニケーションがスムーズでした。」 Arkhangelsk工場の工場開発部長である Pavel Smirnov氏はこう述べている。
バルメットの納入範囲の注目点
品質改善と生産の柔軟性の向上
プロジェクトでは、クラフトライナーの品質改善と生産の柔軟性向上の 2点を目標に掲げている。「抄紙機のそれぞれのパートが、表面特性や強度といった最終製品の特性に強みを与えます。当社の坪量は 80~275 g/m2と広範囲に及びます。また、最新のワインダ技術とロールハンドリングシステムがあれば、最終製品のフォーマットも 3 m~50 cmと幅広いものになります。」 Tuvanof氏は続けて、コスト削減目標について次のように説明している。「コストとエネルギー消費の両方を確実に削減できると予測しています。紙 1トンの生産につき、熱量は 15~20%の節減、電力消費は約 8%、水消費は約 5%、それぞれ節減できる見込みです。」
バルメットの納品範囲には、プロセス制御のための Valmet DNAオートメーションシステムも含まれている。「Valmet DNAは見やすく可視化されており、シンプルで機能的です。オートメーションソリューションも含め、プロジェクトの成功に必要なすべてをメイン設備のサプライヤーが備えていることは、当社にとって重要です。当社ではバルメット以外のサプライヤーから提供された設備にも、Valmet DNAを使用しています。」と Smirnov氏は述べている。
より持続可能なビジネスを目指して
「持続可能性は当社にとって非常に大切です。現在のロシアの法律は排出レベルに大変厳しくなっています。またお客様も、環境面のパフォーマンスをもとに当社を評価し、持続可能な生産が保証されることを要求してきます。当社がこうした要件を極めて慎重に守っているとお伝えできることを、誇りに思っています。当社はロシアにおいて CO2排出削減の監視に早い段階から真剣に取り組んでいる企業の 1つです。」と Zinner博士はコメントしている。
Arkhangelsk工場では、新しい板紙生産技術が、熱量、エネルギー、水の消費削減、CO2排出量の最小限化、再生原料への転換をさらに促す見通しである。
Arkhangelsk Pulp and Paper Millの持続可能性に関わる体系的な取り組みは、すでに一般に認められている。ロシアのパルプ・紙関連企業環境インデックス 2017年によると、Arkhangelskは特に環境マネジメントシステム、生産プロセスの環境フットプリント、製品の環境的品質に関する情報の透明性において、高得点を獲得している。
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