インド ITC社 BM1設備における高級塗工板紙製造
2019年4月16日火曜日
急成長を続けるインドの紙・板紙消費の需要に応えるため、ITC社は新しい高級塗工板紙製造技術に投資を行った。同社とバルメットは共に長い道のりを歩んできた。これはバルメットが提供する高い技術と、互いの変わらぬ信頼関係に基づいている。
ITC社 Bhadrachalam工場は、インド最大の統合パルプ・板紙製造工場である。ここでは、包装・グラフィック用途の高級非再生紙および再生紙、並びに上質印刷用紙を製造している。
紙と板紙の消費は年 6%以上で成長している。紙箱用板紙製造の最新技術を選択することによって、ITC社は自身の市場での競争力を上げたいと考えている。バルメット製板紙製造ライン(BM1)への最新の投資後、ITC社の紙箱用板紙生産能力は著しく増加した。
「この投資の背景にあるのは、インドにおける包装用板紙需要の増加です。ほとんどがオンラインショッピングの増加によるものです。塗工板紙はまた、プラスチックの代替品としても重要な役割を果たします。私達は信頼できる機器サプライヤを必要としていました。費用対効果の高い方法で、原材料を高品質の板紙に変換することのできる高度な技術が必要でした。私達はバルメットと長い取引があります。同社の板紙製造機の稼働実績は良く承知しています。同社は最高の板紙製造技術と共に、他社との差別化を可能にするノウハウを提供することができます。」同社の最新の投資に関して、ITC社板紙・特殊紙部門の最高経営責任者である Sanjay Singh氏はこう述べる。
私達は信頼できる機器サプライヤを必要としていました。費用対効果の高い方法で、原材料を高品質の板紙に変換することのできる高度な技術が必要でした。”
技術的ソリューションから測定可能な成果まで
「私達にはバルメットのようなグローバル・パートナーが必要です。私達の要求、市場、そして私達の会社を良く理解しているパートナーです。私達には優れた技術が必要です。加えて、ITC社とバルメットの両方から、優れた人材を必要としています。現在の市場での優位性を獲得するために、私達は協力して高速板紙製造機を稼働し、高級板紙を製造することができました。」板紙・特殊紙部門の最高執行責任者である Vadiraj Kulkarni氏はこう述べる。
「高級板紙とは、高い印刷特性と共に、嵩高、滑らかさ、剛性などと言った高い機能性を意味しています。さらに軽量で高エネルギー効率の加工という点で、コスト面が不可欠です。バルメットはソリューションの設計から最終製品の適格品質に至るまで、このプロジェクトに非常に深く関わってきました。」同氏は続ける。
バランスのとれた供給範囲、費用および時間
BM1塗工板紙紙設備は、2018年6月から稼働を開始した。ITC社の BM1設備プロジェクトマネージャである A. Harinarayanan氏によると、立ち上げはスムーズだった。「すべてのプロジェクトマネージャが直面する課題は、供給範囲、コスト、および時間に関わることです。私はバルメットからの支援に、とても満足しています。私達は協力して、当初のコストレベル、供給範囲およびタイムスケジュールを守ることができました。設備の立ち上げから数か月以内に、ほぼすべての設計最終製品特性および設計生産率を達成することができました。」
バルメットの納入範囲には、生産ライン向けの自動化ソリューションも含まれている。「バルメットの統合自動化ソリューションによって、BM1設備の性能が改善し、立ち上げがスムーズかつ効率的になり、直ちにプロセスが安定しました。可能な限りの最短時間で、板紙設備を最適に設置することができました。」Singh氏はこう要約する。
持続可能な生産のための適切な技術提供範囲
ITC社は何年も前から、二酸化炭素、水および固形廃棄物のリサイクルにおいて、排出量よりも吸収量を増やす努力を続けている。このため ITC社は、プロセスを効率化する方法を常に考えている。「優れた板紙品質と高速生産に加えて、競争力をさらに高めるために、資源効率を求めています。」Kulkarni氏は述べる。「インドでは初めて アクア冷却カレンダ技術のような革新的技術を利用しています。これにより板紙の最終製品特性が向上し、同時にエネルギー消費を削減することができます。」同氏は続ける。
BM1設備は長網抄きあわせ抄紙機ウェットエンド概念と、シュープレス付きプレスセクションで構成されている。MGシリンダーなしで動作するが、これはインドにおける紙箱用板紙製造では一般的ではない。「私達はシュープレスを非常に効率的に稼働しています。これは板紙の品質面でも有益です。ウェットエンド全体も非常に効率的です。フォーミングは良好なレベルです。このウェットエンド概念とプレスセクションの組み合わせにより、高品質の紙箱用板紙グレードを、非常にコスト効率良く製造できます。」ITC社のプロジェクト担当上級副社長である K. Nagahari氏はこう述べる。
「私達が必要とした板紙特性は、MGシリンダーによって達成できるものと同等の印刷特性でした。バルメットの技術とノウハウがあれば、MGシリンダー無しでも、同等の品質を生み出せると私達は信じていました。私達はこの最終製品を、印刷のために顧客に送りました。顧客は製品の品質に非常に満足しています。」Singh氏はこう述べる。
密接な協力関係
ITC社とバルメットが共に歩んできた道のりは 20年にもなる。「私達はこれまで共に良い協力関係を築いてきました。私達は、お互い深く関わっており、そのことがこのプロジェクトにおける課題の解決にも役立ちました。私達は異なるレベルで関与を共有しています。プロジェクトチーム同士、最適化チーム同士、および立ち上げチーム同士です。」K. Nagahari氏は言う。
バルメットはソリューションの設計から最終製品の適格品質に至るまで、このプロジェクトに非常に深く関わってきました。”
「私達はバルメットチームと頻繁なコミュニケーションをとりました。プロジェクトの初日から、ITC社の経営陣とバルメットは予め取り決めた見直し機構を設けることに同意しました。四半期に一度上級レベルの運営会議を開き、未解決の問題を見直し、修正することができました。最終的に私達は互いに協力して、このプロジェクトを成功裏に始動できたことを、とても嬉しく思います。」A. Harinarayanan氏はこう締めくくる。
本文: Marika Mattila
本記事は広報誌 Forward magazine 1/2019に掲載されています。
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