Valmet MAP Qによる紙料調成の改善
2019年12月5日木曜日
BillerudKorsnäs板紙工場では、Valmet Fiber Furnish Analyzerを使用して原材料繊維の特性をより詳しく把握しておくことが、紙料調成の改善に役立っている。バルメット パフォーマンスセンターの専門家による追加のリモートサポートも受けることができる。
生産品種は合計で 150種以上あることから、お客様がその後の加工処理を期待し、安心して行えるような高品質を実現するためには、原材料繊維の特性を詳細に把握しておくことがきわめて重要である。このため、工場は、すぐに導入可能な Valmet Fiber Furnish Analyzer(Valmet MAP Q)を購入することを、2018年に決定した。「弊社の装置は、オンライン繊維分析用の超高解像度カメラを装備した最初の装置の一つです。」とPietarsaariの生産本部長 Matti Myllylä氏は話す。「きわめて良好な協力プロジェクトはこのときに始まり、アナライザーの運用開始からほぼ1年経つ現在まで続いています。バルメットによる現場でのサポートと、アナライザーのリモート接続機能を使用したサポートは、どちらも素晴らしく、比較的円滑にサポートを受けられています。」
Valmet MAP Q - 紙料調成の改善
新型の Valmet MAP Qアナライザーには、繊維の寸法特性から結束繊維や寸法カテゴリーまで微細構造に関する詳細情報が得られる新しい繊維画像処理テクノロジーが組み込まれている。入荷するパルプ品質と以降の繊維形成を監視することにより、紙料調成の制御を改善できる可能性がある。アナライザーの測定値の組み合わせから継続的にパルプの特性を予測できる内蔵のモデリング・ツールを使用することにより、さらなる改善が可能である。この装置は、さまざまな繊維と結束繊維の特性を測定できるだけでなく、木質部導管要素、凝集粒子、その他の粒子を含む、不規則な粒子の特性を評価することもできる。Pietarsaari製紙工場への納品業務は、標準ろ水度(カナダ標準ろ水度およびショッパー・リーグラろ水度)用の追加の測定モジュール、およびpH、導電率、濃度を監視するための化学モジュールで完了した。
重要な情報
8つのサンプリングポイントが決められており、まず送られてくる漂白パルプと無漂白パルプを監視し、その後に高濃度(HC)と低濃度(LC)精製工程後の繊維形成を監視し、最後に、マシンチェスト後のサンプラーとヘッドボックス再循環部の別のサンプラーでパルプ品質を監視する。8つのサンプリングポイントで順番に測定が自動的に実行され、各測定の所要時間は約 5分である。「Valmet MAP Qには、私がデスクに居ながらきわめて重要な情報を得られるきわめて優秀なソフトウェア・クライアントとユーザーインタフェースが含まれており、特に試運転や故障対策を行っているときには重要です。プロセス変更が繊維に与える効果を直ちに確認できるため、検査室での検査やリールからのサンプルを待つ必要がありません。」と Myllylä氏は話す。
プロセス変更が繊維に与える効果を直ちに確認できるため、検査室での検査やリールからのサンプルを待つ必要がありません。
繊維撚れの早期の徴候
生産開発技術者 Jyrki Härkönen氏は次のように説明している。「品種によっては、繊維撚れ(複数の繊維が機械的にきわめて密に絡み合ってしまうこと)が特別な問題になる可能性があります。このような繊維は紙面から突き出てしまい、施されたバリア・コーティング層やラミネート層に穴が開く原因になるからです。Valmet MAP Qでは、送られてくるパルプに存在する繊維撚れや、原料調製中に発生する繊維撚れのいくつかが表示されます。工場に送られてきたパルプがリールに送り込まれるまでの 50分間に、Valmet MAP Qが繊維撚れの早期の徴候を知らせてくれるため、私たちはプロセス条件を調整して繊維撚れを最小限に抑えることができます。アナライザーが、条件の微調整による効果や、繊維撚れによるプレートの磨耗などの問題、パルプのその他の特性などを表示してくれるため、後で追跡調査してさらなる改善を行うことができます。」
バルメット パフォーマンスセンターからのリモートサポート
設置作業に続き、2018年 11月の立ち上げ時に初回のキャリブレーションが行われた。SRろ水度のキャリブレーションと化学モジュールの導入のために行われたバルメットの 2回目の現場訪問の後は、リモート接続機能が使用されるようになった。Härkönen氏は次のように述べている。「弊社の検査技師がアナライザーでサンプリングし、バルメットの技術者がリモート操作で必要な校正調整を行うことができました。プロセスのトラブル解決や装置に関するサポートなど、リモート接続によるバルメットのサポートは、いつでも身近に利用できます」。さらに Myllylä氏は次のように付け加える。「追加で SRろ水度のキャリブレーションをリモートで行って精度がさらに向上しました。現在弊社は SRろ水度の値、繊維の長さ、フィブリル化度に厳密に従っており、微調整を最適化しエネルギーを節約するための制御モデルを開発することができます。弊社はまだ学習段階にありますが、2020年に始まった論文プロジェクトで弊社ははるかに前進することができるでしょう。」
プロセスエンジニアのツール
Myllylä氏は次のように述べている。「現在弊社では、アナライザーをプロセスエンジニアのツールとして使用していますが、測定をプロセス管理システムに統合する継続的な作業を行っており、これにより弊社は、精製の自動制御という次の新たなステップに進みます。」また、Myllylä氏は次のように明言してる。「1日につき行える品種切り換えは最大で 15回であり、現在は品種の仕様に従って条件を調整しています。今はアナライザーがあるため、パルプの特性と送られてくるパルプに対応する品種仕様に応じて、制御する機能を強化できます。現在弊社では、送られてくるパルプの特性に応じたいくつかの特定の品種を生産し、精製を最適化することにより、同じ高品質のものを生産しつつ省エネと損紙発生削減を実現しています。」
本文・写真 Nigel Farrand
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