TSE発電所では賢明なエネルギーソリューションによりパフォーマンスが向上
2018年11月7日水曜日
Turun Seudun Energiantuotantoの発電所では、バルメットのオートメーションシステムとインダストリアル・インターネットソリューションにより、パフォーマンスと運転の両面をまったく新しいレベルで効率化した操業を実現している。
Naantaliに新設された話題の Turun Seudun Energiantuotanto Oy(TSE) NA4発電所は、2018年12月に稼働から 1年の節目を迎える。同発電所は運転開始から 1年足らずで良好な運転成績を上げており、社会で大きな関心を集めている。
画期的ビジョン
バルメットにも同発電所の 1周年を祝福する十分な理由がある。これは主として、バルメットが世界規模でソリューションを提供しているなかで、この多燃料発電所がバルメットの革新的コンセプトが詰まった展示スペースであり、未来への飛躍的進歩であることによる。Naantaliの NA1~3ブロックは十数年にわたり Valmet DNAソリューションによって操業されているが、最新の NA4ブロックの設立により、協力関係はさらに長期にわたって持続することになる。
バルメットが提供した技術、すなわち、さまざまな種類のバイオ燃料を燃焼できる柔軟性を備えた循環流動床ボイラーに加え、バルメットのオートメーションシステムとインダストリアル・インターネットソリューションが、同プラントにおいてパフォーマンスと運転の両面をまったく新しいレベルで効率化した操業を実現している。
新しい NA4ブロックに最新の Valmet DNAオートメーションシステムが導入された現在、Naantali発電所は全体が Valmet DNAによって実行され、1つの中央制御室から運転されている。プロセス全体の制御や地域暖房の管理から、排出の監視、森林からゲートまでのバイオ燃料管理に至るまで、すべてがバルメットの開発したオートメーションとインダストリアル・インターネットソリューションに依存している。これらのシステムが一体となって、基本制御、最適化、事前レポートなどを担う 1つのシームレスな機能エンティティを構成している。
先進的オートメーションおよびインダストリアル・インターネットをベースとするシステムへの TSEの投資は、賢明なソリューションであり、Turku地域全体のエネルギーシステムの最適化に一層多くのメリットをもたらしている。
エネルギー生産の最適化
Valmet DNA Energy Managementソリューションは、Naantali発電所や、バイオ燃料を燃焼する複数の地域暖房ボイラーとヒートポンププラント、石油ボイラーを対象としている。予想需要をもとに、電力、地域暖房、地域冷房、プロセス蒸気の生産について、時間単位、1日および 1週間単位の生産計画が生産最適化により算出される。
このソリューションでは、生産計画の作成にあたり気象予報、電力および CO2の予想価格、燃料契約情報といったさまざまなデータソースを利用する。生産最適化によって、最もコスト効率の高い発電所ユニットと燃料を使用したエネルギー生産が実現している。
燃料系オートメーションのイノベーション
この広範なオートメーションソリューションの中でも最も斬新なのが、お客様と共同開発した Valmet DNA Fuel Chain Managementである。
Valmet DNA Fuel Chain Management特有の強みは、プラントの生産予想をもとに燃料供給計画を自動作成できるシステムである。DNA Fuel Chain Managementをバルメットのエネルギー生産最適化ソリューションと統合することで、プラントの日常業務の効果と透明性が向上し、サプライチェーンの全関係者の収益性が高まる。
インダストリアル・インターネットベースのソリューションを導入すると、プラント職員や輸送会社、トラック運転手が週ごとの燃料オーダーや輸送情報をオンラインで入手できる。プラントに到着した燃料はゲートで認識され、各トラックの搭載量が記録される。Valmet DNA Fuel Data Managerシステムによってエネルギー量が計算され、オンライン計測によって水分量が測定される。計算をもとに契約管理が更新され、サプライヤーとプラント職員が情報を入手できるようになる。透明性は協力関係とコミュニケーションの鍵となる。
TSEではプラントの運転開始後に国外からの燃料の買い入れを始めた。船舶輸送された燃料は、プラント前にある港湾で荷下ろしされる。船舶輸送燃料を DNA Fuel Chain Managementに追加することは、現行の DNA Fuel Data Managerシステムでは容易であった。つまり、今や国外のサプライヤーも同じように、世界中の各拠点から DNA Fuel Chain Managementソフトウェアを利用することができる。
「Valmet DNA Fuel Chain Managementを導入したことで、バイオ燃料発電のあらゆる要素を単一の制御可能なユニットに統合することが可能になりました。以前は Eメールで燃料を発注する必要があり、やっかいな問題となっていました。新しい最適化ツールのおかげで、この業務に骨が折れることがなくなりました。」と TSE オペレーションマネージャー Sanna Alitalo氏は話す。「もうこのツールなしでは管理は不可能です。」
地域暖房の最適化
Naantaliから Turku地域の地域暖房ネットワークへの地域暖房転送が最適化されたことは、新たに加わった能力の 1つである。たとえば、Naantaliプラントと Turku市を結ぶ全長 15 kmのパイプラインの熱搬送では、Valmet DNA District Heating Managerを活用して温度とポンピングの管理を行っている。供給温度の事前制御は CHP電力生産の最大化とパイプライン全体の熱損失低減に貢献している。
「Valmet DNA District Heating Managerにより、Naantaliプラントから Turku市への熱転送能力は常時、消費需要にもとづいて調整されます。その結果、温度条件の変動が激しく要求が厳しい場合でも、燃料コストの著しい削減が可能になります。Naantali~Turku間の 15 kmに及ぶ地域暖房パイプラインを最適制御することで、当社では大幅な節減を実現しています。」と、TSEマネージングダイレクター Tapani Bastman氏は述べている。
全体的な効率化
稼動から1年近くが経過した現在、オートメーションへの投資戦略がもたらしたメリットは容易に確認できる。
TSEの新しい NA4プラントでは、燃料のインプットから熱および電力のアウトプットに至るまで、すべての段階とプロセスを容易に制御、最適化できる。市場の変動に変更を求められる状況でも、柔軟性があり長期的に使用可能なシステムがあることで TSEは自信を持って未来を見つめられる。
「先進的オートメーションとインダストリアル・インターネットベースのシステムに多額の投資を行ったことは、賢明なソリューションです。そのメリットは、Turku地域のエネルギーシステム全体が最適化されたことにとどまりません。将来的にはパフォーマンス協定とソリューションロードマップが実施され、Naantaliにおけるバルメットのスマートエネルギーソリューションは一層進展するでしょう。」と Bastman氏は語っている。
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