自動化とデジタル化による継続的な性能改善
2021年5月14日金曜日
自動化およびインダストリアル・インターネット アプリケーションはプロセスの信頼性と性能を向上させるが、それらをシームレスに組み合わせることにより、自律型工場への道を開くこともできる。
世界的なメガトレンドであるサステナビリティ(持続可能性)がお客様の業務の中核となることが増えてきた。そのため、排出量の削減や、原材料の効率的な使用によるパフォーマンスの向上も求められている。新しい技術によってさまざまな分野において性能が向上したことにより、お客様のニーズが変化し、自動化やデジタル化への需要が高まってきている。
サービスがますます生産開発のソリューションとなっている
バルメットのオートメーションサービス事業部門の責任者 Kari Huovilaは、自動化プロジェクトの大部分は、お客様と一緒に解決策を必要とする問題をグラフ化することから始まると話す。その後、どのような技術が必要かを概説する作業を開始する。
バルメットの自動化製品には、分散制御システムと業界固有の自動化アプリケーションに加えて、品質管理システム、分析装置と測定、さまざまなインダストリアル・インターネット アプリケーションと自動化サービスが含まれている。
“Instead of just technology, we’re providing more and more services that are tied to performance and benefits for the customers. For example, a paper mill will no longer purchase just a device for measuring fiber properties. Instead, the customer will acquire a service to achieve the desired level of quality,” Huovila explains.
「当社では、技術だけではなく、性能やお客様への利益につながるサービスを実施することが多くなってきました。たとえば、製紙工場が繊維の特性を測定するための装置だけを購入することは次第になくなっていくと考えられます。代わりに、お客様は、望ましいレベルの品質を達成するためのサービスを希望されるでしょう。」と Huovilaは述べている。
性能やお客様への利益につながるサービスを実施することが多くなってきました。
バルメットの自動化製品の中心である Valmet DNA Automation Systemは、2000年の初めに市場に導入され、絶えずさらなる開発が続いている。
「当社の技術は、数十年後でもお客様のシステムを維持および更新できることを念頭に置いて開発されています。お客様は、新しいアプリケーションを常に既存のシステムに接続できると信頼しています。」と Huovilaは話す。
その良い例が、市場初のウェブベースのユーザーインターフェイスの 1つである Valmet DNA User Interfaceである。このアプリケーションにより、制御室の外でも自動化システムを使用することができまる。また、以前に納入したシステムを、このアプリケーションを使用するようにアップグレードできるため、ブラウザベースの操作のメリットをお客様に迅速に提供することができる。
バリューチェーンを超えた価値を生み出すインダストリアル・インターネット
従来の方法では、自動化は、外部との接続が限られている独立した島として構成されていた。現在では、インダストリアル・インターネットはシステムを相互に簡単に接続することができる。「私たちは、システムの内部ネットワークがインターネットを介して安全に拡張され、さまざまなシステムや装置を接続する IoTソリューションに至るという技術的な進歩を目の当たりにしています。これを実現するには、すべての情報セキュリティの脅威に対応するなどのアクションが必要です。そして、これは、当社の継続的な開発作業の重要な領域です。」と、オートメーション研究開発担当副社長 Jukka Ylijokiは述べている。
バルメットは、社内のデジタルプロセス技術、測定装置、プロセス自動化をシームレスに組み合わせることにより、データに基づく生産工場の性能開発を実現するためのシステムを主要な顧客業界に提供できる数少ない企業の 1つである。「たとえば、現在、繊維から最終製品まで、お客様のバリューチェーン全体で品質の最適化を行っています。」と、バルメットのインダストリアル・インターネット担当副社長 Jari Almiは述べる。
デジタル化による自律型工場を目指して
Almiは、インダストリアル・イネターネット ソリューションにより、さらに自動化された自律的な工場やプラントへの道が開かれていると話す。これにより、お客様はパルプ工場などで、より効率的な生産プロセスを実現することができる。
「簡単に言えば、自律型工場とは、ボタンを 1つ押すだけでプロセスが開始されることを意味します。その後、インダストリアル・インターネットや人工知能(AI)などの手段によって生産が自動的に監視および制御されます。」と Almiは説明する。
「当社のインダストリアル・インターネット ソリューションとサービスには、データ分析、オンラインモニタリング、診断、予知保全計画などの機能が含まれています。」と Almiは話す。
パフォーマンスの最適化には複合的なノウハウが必要
工場やプラントの性能を最適化する際には、考慮すべき要素が数多くある。高い稼働率、エネルギー効率、原材料使用量の最適化、品質管理など、それぞれに固有のノウハウが必要となる。日々のメンテナンスや長期的なライフサイクル管理を最適化しながら、変化・発展するビジネスニーズを考慮することは、しばしば困難な問題である。
バルメットは、世界中に約 5,000台の自動化システムと 100,000台を超える分析装置と測定器を提供してきた。「当社は多くの業界において、お客様に付加価値を提供することができます。当社のシステムは、パルプ工場からクルーズ船まで、さまざまなお客様のアプリケーションに簡単に適応することができます。」と、オートメーションビジネスラインの社長 Sami Riekkolaは述べている。「自動化のノウハウと知識に加えて、社内に徹底した産業プロセスのノウハウと知識があることは大きな利点です。」
さまざまな業界のお客様が共通して望んでいることは、必要なときに専門知識を素早く、近くで利用できることだと Kari Huovilaは述べている。「当社のサービスネットワークは、最も重要な市場分野をカバーしています。幅広いサービスネットワークと 8つのパフォーマンスセンターがあり、グローバルな専門知識のハブとして機能し、場所に関係なく、お客様が必要なサポートに簡単にアクセスできるようにします。当社の現地エキスパートはお客様の近くにいて、お客様の事業を良く理解しています。」と締めくくる。
本文 Matti Remes
写真 Niki Soukkio, Valmet history archive
バルメットのオートメーション事業は、革新的なプロセス産業自動化システムにおいて広く知られている。驚かれるかもしれないが、バルメットの事業のルーツは航空産業にある。
1940年代、バルメットの機器工場として機能していた生産工場は、フィンランド空軍向けの機器の製造を開始した。フィンランドの Tampereで、バルメットのエンジニアがフライト情報を記録するためのブラックボックスなどの装置を設計し、航空安全を向上させた。これは、この種の最初の装置の 1つである。
測定技術に加えて、バルメットは工業プロセスに必要なさまざまなコントローラーの開発に着手した。これらのコントローラーは、加圧空気でバルブ位置を調整するなどの機能に使用されていた。
そこから、開発作業はデジタル自動化システムに移行した。バルメットは、デジタル自動化システムの第一線の開発者として 50年間活躍している。1979年に、世界で2番目の会社として、最初の分散型制御システムである Damaticを立ち上げた。
「バルメットは非常に早い段階で完全なデジタルプロセス制御に移行しました。これにより、お客様がより効率的に事業を推進できるよう支援できました。」とバルメットのオートメーションビジネスライン 社長 Sami Riekkolaは述べている。
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